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【マギ】短編集 中編集 の予定。

第14章 安らぎを… シンドバッド [完]



毎夜魘されるシン様…
今日もまた、あなたは魘されてるのでしょうか……


三日月よりも太い月夜。




窓から差し込む月光に照らされた
苦しくゆがむ貴方の顔。






毎夜のごとくうなされている貴方の顔を見ると、胸が痛む。










希望とか夢とかそんなものなんてない私に
眩しい笑顔で、手を差し伸べてきたあの人。






その手を取って以来
彼の治める平和なシンドリアで過ごしている。






毎日が楽しくて、みんな優しくて
そんなあの人のために、みんなのために

私は私のできることを精いっぱいやってきたつもりだ。








だけど、目の前にいる貴方のためにできることなんてなかった。




何かしてあげたいけど何もできない。
もどかしさでいっぱいだ。



私が無意識に手を握っていると
貴方は目を覚ました。







「…………か?」



貴方の目線は私ではなく空をさまよっている。





「はいです。……すごい汗ですね。少し、飲んで落ち着いてください。」




私は枕元に合ったグラスに水を注ぐ。






「また、悪い夢を見ていたのですか?」


私はグラスを手渡しながら言う。








「あぁ。少しな。」




窓の外をぼんやりと眺めるその瞳には
今は何も映っていない。






「……もう大丈夫ですよ。
 

 明日もお忙しいでしょうから、お休みください。」

空になったグラスを持って
立ち去ろうとする私の腕が引っ張られる。





その腕は頼りないほどに弱々しく、それがまた私は苦しかった。






「どうしました?」






立ち上がるのをやめてまたもとの位置に座りなおした。




するとその瞬間、ぎゅっと抱き寄せられる。



いきなりの出来事に戸惑っている私に








「はここにきて楽しいか?」




と、問いかけてきた。




私はもちろん即答した。






「はい。毎日がとても楽しいです」





「そうか・・・。」



そう言ってまた少し力を入れて抱きしめられる。




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