第2章 うつつのゆめ シンドバット [完]
おかあさん、わたしは、見てはいけないものを見てしまいました。
おつかいを頼まれてお邪魔したシンドバッド王様の部屋の、勢い余って床にぶちまけてしまった引き出しの、中に入っていた小さな飾り箱の、はずみで蓋が開いたその中から転がりでてきたものは古いリボンとわたしの目が確かなら、骨、である。
離れて見ても、近づいて見ても、やっぱりこれは、そう…だよね?え?なんで、骨?ていうかそれよりなにより
『だ、…… だ れ の 』
シン「――、印章は見つかったかな」
その時、わたしの心臓が止まってしまわなかったのは、奇跡だと思う。
シン「ちょっとわかりにくかったか、な、」
シンドバッド王様の視線が膝をついたわたしから、ちらばった引き出しの中身から、蓋の開いたきれいな小箱から、こぼれでたリボンの先にまします白い小さなそれに移って、それから弁解のしようもないほど引きつったわたしの顔に戻ってきた。
シン「………見てしまったのか、それを…」
あ。やっぱり、見てはいけないもの、だったんです ね ……
(さよならわたしの人生……!)