第1章 気になる、黄色目のあいつ。
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特にやることも分からず、タオルを洗ってきて
干そうとした時、木兎くんの声が
私の心の渦を劈く様に聞こえた。
「ヘイヘイヘーイ!レーーーフトーー!」
とくん、と心が落ち着いた。
少し抜けてて、がむしゃら。目の前だけ。
調子が悪いとすぐにしょげた。
見てて飽きない人だな、なんて思った。
その時だった。
獲物を見つけ、狩る猛禽類の様な瞳。
鋭く黄色い目が光った気がした。
ボールが凄い勢いで相手コートの中に入る。
1個上の防御なんて虚しく、彼のボール1つで
味方の士気が上がっていった。
なんてかっこいいんだろう。
そう思ってから私の行動は早かった。
練習が終わってスポドリを飲んでる木兎くんに
声を掛けた。緊張して声が上ずりそう。
「はい、タオル」
「…?お!ありがとう!
まおから喋ってくんの初めてじゃね?」
———私の名前。
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