第20章 潜む息遣い。
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何はともあれ、光太郎のお陰で助かった。
解決したかは不明だけど。
「……まお、なんかあったらさ。
言いづらいかもしれねんだけど
俺に言って?なんか出来るかもしれねーし」
「うん、そうする…ありがとね」
「どういたしまして!
よっしゃ、じゃあ帰る準備すっか!」
光太郎がガバっと立ち上がる。
私は気が抜けて彼を眺めた。
余程呆れ顔だった様で、光太郎が笑う。
「なんて顔してんだよ、帰るぞ」
ほら。
そう言って手を差し出した。
初めて手を繋いだ時を思い出す。
変わらない笑顔。
この笑顔にきっとこれからも救われるんだろうな。
そう思わずにはいられなかった。
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