第1章 気になる、黄色目のあいつ。
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「私の名前、知ってるんだ」
「んー?まあ、同じ部だし?つーかよ!
こんなにも話しかけられないから
俺嫌われてると思ってたわ!ワハハ!」
話すと、明るくなれる人だ。
ふっと笑みがこぼれた。
「笑った顔、初めて見た!かわいいじゃん!」
「あ、木兎、まお困ってるから
からかわないでようるさいー」
「雪絵さっきから酷くない?俺なんかした?」
この2人みたいに、仲良くなりたい。
今までの気持ちとは違うモヤモヤ。
これは何だろう。
そんな事を思いながら家に帰る。
暗い家。
入っても誰の声もしない。
1人暮らしならそれが当たり前である。
今日はなんだか色んなことがあった。
木兎、下の名前なんて言うんだろう。
彼女はいるのかな、好きな人とかも。
気になる。
この気持ちの名前に気づきつつ、私には
要らないものだと思い、そっと目を閉じた。
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