第12章 甘やかさないで。
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「つーかまおん家のシャンプー
めちゃくちゃいい匂いだな!」
「あー、うん。
髪絡まるから少しだけ高いやつ」
「たしかに!こんだけ細けりゃ絡まるわ!」
「光太郎も、髪サラサラだよね」
「んー、バレーする時邪魔だし全部上にやっちまうけどな。
てか名前で呼んでくれんのすげえ嬉しいんだけど?」
「あっ」
「今更恥ずかしがっても遅いですー!
はいはい綺麗に乾きましたよ〜森岡さん」
「〜〜〜〜もう…」
そしてまた、リップ音。
今までの男はココでもう手を出してくる。
でも光太郎は違う、モノタリナイ。
「……光太郎」
「ん?————ッ!?」
名前を呼んで、光太郎の唇を塞いだ。
クチュ、クチュと水音が聞こえる。
はあ、とどちらともつかない息を吐く音。
お互いを昂らせるには充分だった。
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