第10章 春高前のひと時。
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最近じゃ良いことがありすぎて
嫌な事をよく思い出す。
男だけが快楽を勝ち取る。
慣らされず突っ込まれ、痛いだけ。
下手したら首も絞められた事もある。
———ああ、嫌だ、気持ちが悪い。
突然、ふらついて体育館の床に手をついていた。
どうやら倒れそうになっていたらしい。
全然気がつかなかった。
流石に2人も練習を中断したらしく
私のところに寄ってきた。
「まお〜!大丈夫か〜!?」
「木兎さん、落ち着いて下さい。
まおさん、分かりますか?」
「……ん、ごめん」
「貧血…ですかね、顔真っ青ですよ」
「気持ち、悪い」
寒い。血が引けたのかガタガタと震える。
どうしよう、早く、早く収まって。
「ほーら、まお、深く息吸え」
気づいたら、木兎は私を抱きしめていた。
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