第10章 春高前のひと時。
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正直、自惚れてるかもしれないけど
木兎に告白して断られる訳はないとは
思っている、けど。
大会前に、メンタル乱してどうするんだろう。
ましてやその部のマネージャーが。
1年の頃の私だったらそんな事
絶対に思わなかった。
バレーへ熱を注いでいる彼の邪魔を
私が出来るわけがない。
「ヘイヘイヘーイ!やっぱり外寒いわ!」
「おかえり!あ、上着返すよ!風邪引く!」
「んー、大丈夫!まおのが風邪引く!」
「まおさん、甘えてて良いやつですよコレ」
「……じゃあ、お言葉に甘えます」
「ん!着とけ!」
そしてまた練習に戻る2人の背中を見る。
せめて、予選が終わったら、この思いを
伝えてもいいかもしれない。
ふと、ジャージから香った彼の匂い。
今までは香水臭いやつ
なんなら香害レベルなやつ、たくさんいたけど
木兎の香りは安心するな。
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