第9章 及第点。
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「まおに雪絵じゃん!どうした?」
「あの、テストどうだったかなって…」
「聞いてくれるか!
まおのおかげで赤点回避したぞ!
先生も俺もビビったわー!!!」
ワハハ、と木兎が大声で笑う。
途中、私を見てヒソヒソしている男子達と
目が合ってしまった。
このクラスだったか。
「まお、また勉強見てもらっていい?」
ズイっと目の前に木兎が現れて驚いた。
キラリと煜る黄色い眼。
私の視線に合わせて前屈みになってる大きな身体。
迫力あるなぁ。
「…まお?まおさーん?」
「…ああ!ごめん、うん、また私が
教えられる範囲で良ければ教えるよ」
「ラッキー!そしたら俺無敵じゃん!」
「無敵無敵ー、じゃあまた来るから、まお行こー」
「ん、じゃあ木兎、明日部活でね」
「おー!明日なー!」
木兎は気づいたのだろうか、気づかないにしても
あの機転はすごく助かった。
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