第1章 気になる、黄色目のあいつ。
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「なんか買ってくる?」
ドクン、と心臓が鳴った。
今の私の心境では誰であろうと怖かった。
「あー木兎、プリン買ってきてー。
あと、焼きそばパンにミルクティー」
「パシリかよ!まあいいけど!ワハハ!」
「女の子にこの人集りは辛いのー」
「へーへー、わかってますよ」
木兎、と呼ばれる男の子は人集りに
物怖じせず入っていった。
といってもかなりしっかりした体格。
て、あれ?どこかで会った?
「ねえ雪絵ちゃん、さっきの子…」
「あれ、木兎知らない?バレー部だよ?」
「知らない」
「うん、木兎悲しむねー」
「むしろ先輩しか知らない」
「それ聞いてるの私だけで良かった」
けらけらと雪絵ちゃんは笑う。
確かに体育館で見た事があった。
そして、あの笑い方だった。
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