第6章 初の夏合宿。
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彼は気にしないどころか
高みを見ている様だった。
「上手くなれば言われなくて済むし
何なら何も言えなくしてやる」
「…木兎のそういうところ、好きだよ」
「……え?何て言った!?」
「何も言ってないよ、戻ろう」
聞こえてなくて良かった。
今、言う言葉じゃない。
ただ1人、聞いてた人がいたらしい。
「………何」
「新しく入ったマネ?それとも前からいた?」
「前からいたよ。去年は参加してないだけ」
「そっかー、こんなに可愛い子いたんだー」
木兎に"黒尾"と呼ばれていた男が
何故か私の目の前にいる。
何だか面倒くさい人だな。
そう思っていたのが顔に出ていたみたいで
黒尾くんは言葉を続けた。
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