第20章 潜む息遣い。
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そう考えると面白くて自然に高らかに笑った。
本当にアザだったら。
久々にこんなにも笑った。
「クソー!なんだかバカにされてる気分!」
「バカにはしてないよ、ただ、おもしろ…」
言っている間にも想像して笑いが出た。
その度に光太郎は面白くなさそうな顔をしたけど
私の笑ってる姿を見て優しく微笑んだ。
「なんか、まおがそんなに笑ってんの
初めて見たかもしんねーな!」
「うん。
あんまりこんなに笑わないかもしれない」
「レアじゃん!」
そう言って光太郎も笑った。
好きな人と笑うって、こんなにも幸せな事なのか。
ふと、目が合って、それからキスをした。
「……光太郎、ココ、体育館」
「うん、知ってる」
清々しい顔で言われた。
このままではこの空気に流されかねない。
明日も朝早いから、とか。
早く帰らないと先生が、とか。
色々頭でゴチャゴチャ考えたけどやめた。
「……まお、シよ?」
この顔には、どんな言い訳も敵わない気がした。
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