第20章 潜む息遣い。
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「さっさと片付けて帰るぞ!」
「うん」
キュ、キュ、と体育館の床が鳴る。
モップは掛けていたのに、掛けてなかったのな。
拭かれていないところがあった様で
そこでつまづく。
「っわ、」
規則正しくなっていた体育館の床も
不規則にキギイっと鳴る。
ボールが床に叩きつけられた時みたいに
ダァンと体育館中が響いた。
「……おーい、まおさん。大丈夫?」
「…!光太郎!ごめん!大丈夫!?」
「んー、俺は平気。つーかよ!
正直まお守るの精一杯でさっきの
一瞬記憶ないわ!ワハハハハ!」
いつも通りそうでホッとした。
まさか、この一瞬で光太郎が私を引っ張って
尻もちを着くだなんて誰が想像した?
勢い余っちゃったんだな…
「光太郎のお尻…明日アザで真っ青になってたらどうしよう…」
「勝手に俺の尻の心配しないで下さい」
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