第18章 影。
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「なあ、何してんの?」
聞いた事がある声がしてそちらを向く。
シルバーのツンツンした髪。
ギラギラと煜るゴールド。
あ、光太郎だ。
「おーい、何してんのって聞いてんの」
口角は上がってるけど目が笑ってない。
私の上に乗ってた男はすぐ様私から退いた。
「何って、こいつが…」
「はあ!?私、なんも関係ないから!
ねえ木兎!なんでこんなあばずれなの!?
私の方が可愛いし、好きな人としかしないし
こいつより全然良いんだけど!?」
「お前誰だよ、黙ってろよ」
仔犬のように吠えてた名前も知らない女は
光太郎の一言で黙る。
「…まお、ほら、部活行くぞ!
あー、そうだ。お前ら、覚えとけよ」
光太郎に手を引かれて、視聴覚室を出る。
痛いくらい手を強く握られて
大きい背中を見る。
安心して、また涙が出た。
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