第1章 私の気持ち、あなたの気持ち
宏光「そういえば、Black Jewelって明日で3周年だっけ?」
るうな「そうですよ。記念すべき日に、初めてLIVEをした場所でやるんです。しかも単独で………」
最後の方、小さな声になった私を不思議そうに見つめる宏光さん。
宏光「ん?どした?なんか暗くなってない?」
私の顔を覗き込む。
るうな「今までも何回か単独LIVEやったことあるんですけど、なんか今回は不安で…………お客さん来なかったらどうしよう…………途中で歌えなくなったらどうしよう………って、そればっかり考えちゃって………」
そう言うと泣きそうな顔を見られたくなくて、宏光さんに背を向ける。
泣きそうなのを必死に耐えていると、不意にふわっと何かに包まれた。
自分が宏光さんに抱きしめられていることに気付くのに時間は掛からなかった。
るうな「………宏光………さん?」
私は慌てて後ろを振り返ろうとするけど、宏光さんに強く抱きしめられていて振り向けなかった。
宏光「るうな………このまま少し話を聞いて?」
耳の側で聞こえる宏光さんの声に、くすぐったさを感じながら私はコクンと頷いた。