第4章 無垢なる天使
『そうだ。いつも思ってたんですが、雨宮さんってお仕事は何をされてるんですか?』
ふと切り出された質問。
雨宮は相変わらずの笑みを浮かべる。
「お仕事ね。普段は私服でいいんだけど、たまに需要な話し合いがあるとスーツでビシッと決めて行くただのエリート会社員だよ」
ニコッと微笑みながら告げる雨宮に、真白はなるほどっと目を丸める。
『だから私服が多いのにたまにスーツの日があったんですね』
「そうそう。流石に需要な会議の時に私服はまずいからね」
その需要な会議っていうのが、殺しの依頼だけど。
『流石大人です。やっぱりーー子供と大人じゃ違いますね』
「ん?」
何かポツリと呟いた真白だったが、それを雨宮が聞くことはなかった。
そんな雨宮は静かに俯く真白を見る。
「真白ちゃんはコーヒー専門店のカフェで働いてるけど、コーヒーとか飲まないんだね」
容姿は大人びていて、雰囲気も子供にしてはどこか色気が漂う。だが、そんな彼女が飲むのは甘ったるいココアだ。
『バイトは近場を選んだだけです。ま、コーヒーは全く飲まないですね。コーヒーを飲むと嫌な事を思い出すので』
「嫌な事?」
きょとんと見る雨宮に、真白はやんわりと頷く。
『はい。でも、その話はまた今度にしましょ?』
微笑む真白だが、その顔は今にも泣き出しそうだ。
「そっか、じゃあもっと親密にならないとね」
参ったな。
18歳の身体を拝みたかったが、そんな顔されたら襲う気力がなくなるわ。
ま、唯人なら間違いなく犯してただろうけど。