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空蝉が抱く死体【R-18】

第4章 無垢なる天使



『雨宮さん?』

「俺も優しい人が好きだよ。でも、人間に冷めてしまって、狂ったように次々と人間たちを殺し暴れ回る男を見るのも好きかな」


その返しに真白は紡ぐ言葉を見失う。

だって、それが極悪非道の言葉に似合うと思ってしまったから。


「引かせちゃったね」

『あ、そんなつもりじゃ!』

「大丈夫だよ。そう言う男がいたらカッコイイな、なんて思ってついた嘘だからさ」

『う、そ?』

「うん」


それはカッコ良くはありませんから!っと正論を述べる真白の隣、雨宮はニコっと愛想笑いを浮かべるも、前の道路に目をやる。

確かに狂った男を見るのが好きだなんて、普通じゃない。いや、人によりその匙加減は違う。

だが、唯人が殺しに目覚めた時の、あの時の血走った目と狂乱とした態度は雨宮を虜にするに時間はかからなかった。


『あ、ここが私の家です』


暫く道なりを走っていると、とあるアパートの前に着いた。

白の外壁で、アパートの端には螺旋階段がついている。見た目としてはかなりのおんぼろだ。


「ここが真白ちゃんの家か」

『年季が入ってますけどね。あっ良ければ部屋に上がって行きませんか?』

「え?」


助手席のドアを開けて出る真白。

彼女の行動を逐一見ていた雨宮は、目を点にさせる。


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