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空蝉が抱く死体【R-18】

第4章 無垢なる天使



『今終わりました。暫く猫ちゃんは病院側がお世話をしてくれるみたいです』

「なら良かったよ。でもごめんね、一緒に付き添えなくて」

『いえ、スーツが血で濡れてしまってますし、逆に問題になっちゃいますから。それに、お仕事中だったのに付き合わせてしまいすみません』

「いやいや、もう仕事終わりだし気にしないでいいよ」


猫を病院に預けてから、真白は雨宮の助手席に座りシートベルトをする。

そんな真白の傍ら、雨宮は車を発進させた。


『それにわざわざ家まで送って下さるなんて、本当にありがとうございます』

「律儀過ぎでしょ、真白ちゃん。ま、全然気にしなくていいよ。猫ちゃんを救えたのがなにより」

『優しいですね、雨宮さんは』


何か含みのある言葉に雨宮の眉がピクッと動く。

が、彼はフロントの先を見つめた。



優しいなんて言葉、俺には似合わないよ。



「真白ちゃんはさ、優しい人が好き?」

『え?』


あまりにも唐突な質問に真白は目を丸める。
だが、隣で運転する雨宮の横顔は真剣なようにも思えた。


『優しい人ですか……そりゃあ極悪非道な人よりかは好きです』

「極悪非道って。優しいの反対は極悪非道になるんだね」

『えっと、私の中ではそうなりますね。雨宮さんはどうなんですか?』


切り返された質問。

雨宮はクスッと笑うと真白を見た。


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