第4章 無垢なる天使
「これは酷いなぁ。綺麗に一本の線が入ってるし人間が意図的に傷つけた感じだね」
『やっぱりそうですよね。』
「うん。結構傷口が広いし、このままじゃ」
『そうなんです。なんとかして助けーーって雨宮さん?』
傘の柄を真白に握らせると、雨宮は滑り台下で丸まってる白猫に近づく。
そんな雨宮に一瞬威嚇に入る猫だが
「大丈夫、大丈夫だから」
優しい声と下から伸びていく手に、白猫は威嚇を止めて彼に身を委ねた。
そして、白猫は嫌がることもなく雨宮に抱かれるのだった。
「捕まられた…でもスーツがね」
『あっ』
猫の血で雨宮のスーツは真っ赤に染まり、ジャケットの裾から雨の雫と混じり血が垂れる。
見た目は立派な犯罪者みたいだ。
「あはは、見た目的にやばい奴だね。ま、とりあえずこの子が優先かな」
『雨宮さん……』
白猫を優しく撫でながら微笑む雨宮は、まるで父のような温かさを放つ。
父親のいない真白にとってその光景は目を瞑りたくなる程の光に見えた。
「もちろん真白ちゃんも付き添いで来てくれるよね?」
半ば強制的でもあるが真白はニコっと微笑むと
『もちろんです』
猫をお腹あたりで仰向けにして抱く雨宮に賛成の意を告げた。