第2章 汚された未来
「そう。重要な話し合いなんだ。あ、コーヒーありがとう。んじゃ、またね」
と、言い残して雨宮はコーヒーの入った容器を受け取ると慌ただしくお店を後にした。去り際の後ろ姿まで絵になってしまうだからよっぽどスタイルが良いのだろう。
「ひゃあー、相変わらずイケメンだわ」
ふと、何処からかやって来たバイト仲間の和泉(いずみ)が目を輝かせながら、雨宮の出て行ったドアを見る。
『和泉は面食いだものね』
「何をー。真白だってカッコイイと思ってるくせに」
『どうだか』
そんな返答にえーっと驚愕をする和泉を尻目に、真白は溢れ出た珈琲に目をやった。
こんな苦いコーヒーを良く飲めよね。
「でもあの人、真白の淹れるコーヒーを毎回頼むよねー。あっ!もしや真白が好きだったりして?」
ニヤニヤしながら持論を展開する和泉に、真白は溢れたコーヒーをタオルで拭きながら冷ややかな目線を送る。
『絶対ないから』
真白の低く重たい声に和泉は笑顔から顔を引きつらせては
「あはは、そうかー」
と、逃げるように自分の持ち場に戻って行った。
『はぁ』
そんな和泉の行動に真白は溜め息を漏らすが、お店のドアを一目見た。
まさかね、雨宮さんが私を好きとかあり得ないよ。