第3章 誰そ彼時のエンジェルイヤリング
『で、でもね?中原さんはその…私が本当にちゃんと好きになるまで、待っててくれるって言ってくれたの』
「…恋愛感情がわからないの、受け止められたんですか?」
『ん、…け、けど……な、なんかね?ここ来る前までこんなこと無かったのに、なんかさっきからその…会う、の……恥ずかしくて』
私の視線が、感情が、思考が、心が…全て、持っていかれてしまったというのが正しいのだろうか。
目を合わせられるのもなんだか耐えられなくて、胸がはち切れそうになって。
身体見られても、恥ずかしいことした後も甘えたあとも、こんなになるまでじゃなかったはずなのに。
「…リアが恥ずかしがり屋なのも、いつもの事では?可愛らしいですよ」
『あ、あんたのそのシスコンはいらないのよ……あの人、双熾なんかよりもずっとちっちゃいし単細胞だし、うるさいしやかましいしおちょくられやすい人なのに。…なんか、すごい…逞しかった。大きかったの、何もかも』
「……好きに、なってしまいました?」
『元から、好き。…だけど、初めてばっかり、あの人……私おかしくなっちゃった』
「そうですか。…今凜々蝶様と一緒にいるはずですよね、中原さん」
『あ、…』
ぽっかりと、穴があけられてしまったような気がした。
想像してしまったのだ、彼が凜々蝶ちゃんを心配する様を。
凜々蝶ちゃんに、あの表情を向けているのを。
『…ごめん、双熾から凜々蝶ちゃん取っちゃって…わ、私大丈夫だから行ってきて、いいよ…?』
「何言ってるんです、強がるなとあんなに言ってきたでしょう。…まだハグさえしていないじゃないですか、折角久しぶりに会えたのに」
広げられる腕に飛び込めば、抱きとめられる。
久しぶりだ…家族のにおいだ。
『……“お兄ちゃん”、ありがと』
「こっちこそ、ありがとう。…僕の事も、凜々蝶様のことまで護ろうとしてくれて。よく、頑張ってきましたね」
『…ッ、……中原、さん…嫌になってない、かなぁ…っ、?…リア、あの人に離れられちゃったら…なんか、死んじゃいそう…ッ』
「それ、教えてあげたらきっと喜ばれますよ。それに離れられるわけありません、こんなに可愛いのに」
『“そう君”目も頭も耳もおかしいからあてになんない』
「ひねくれた風に言わない。素直になった方が可愛いんですから」
『…中也の可愛いの方が好き』
「戦争です」