第3章 誰そ彼時のエンジェルイヤリング
「って言うと?今の季節、いきなり尻尾鷲掴みにされんのはやっぱり死ぬかと思うくらいビビるもんなんだ?」
『…な、中原さんなら許す』
「許すな許すな、俺相手だからって」
『ど、どうして??中原さんはリアの「恋人なら余計にそういうの、大事にするべきだろうが」…変な事言う人ね』
私に想いを寄せてきたような人達は…カゲ様を除いて、皆して身体目当てだったり、お金目的だったりで。
腹の底で、大事にするだとか大切にしたいだとか、そういったことを考えてるような人、いなかった。
「…俺の事なんだと思ってんの、お前」
『……脳筋』
「わるかったって」
そういう意図じゃ、なかったのだけれど。
素直に言うのもなんだか癪で、突撃するような勢いで彼のしっかりとしたその胸元に抱きついて。
『ん…お腹空いた』
「!…雰囲気台無し。何食べたいんだよ」
『なんでもいい』
「食堂行くか?」
そういうなんでもじゃないのに。
なんて言葉足らずだったのを相手のせいにして、むすんと頬を膨らませてそのままでいる。
『…いいですそれで』
「…作って欲しかったのか?」
『食堂でいい!!』
「はいはい、作る作る。消化にいいもんと体にいいのな」
あやされてる…また子供扱いして。
いや、子供だけど。
『な、中原さんなんか馬鹿だもん』
「え?じゃあ食堂で食う?……いやごめんて、なんでそんな泣きそうになっ…ごめんって!!?」
『が、餓鬼扱いして…っ、い、いいもん、私なんかどうせそこいらの子供だもん、成人もしてないお子様で…っ』
「…多少自分より子供な奴の方が可愛いんだけどな、俺からすりゃ」
ピタリと何かが止まる。
そして彼の方を向いて、目を合わせて問う。
『…ロリコン?』
「ちげぇわ!!!!お前そんな歳じゃねえだろ!!」
『……餓鬼で結構』
「…男からしてみたら愛らしいっつってんの、分からねぇ?」
不意打ちで塞がれる唇。
それに目を見開かせて、何度か吸われるのに抵抗もできなくて…溺れそうになる。
『…ッ、ン……っは!ぃ、きな…なに…し…ッ』
「真っ赤…可愛いの」
『〜〜〜!!?!?、…じ、自分が勝手にしといて何言って…っん、ん…ぅ…ッッ』
「可愛がられ慣れてないのね、お前。勿体ねぇ…俺ならこんな子放っとかねぇのに」
それから降り注いだキスが止むのは、また少し先の話