第12章 キツネアザミと矛盾の芽
「中也さん!!そっちは大丈…………夫っすよねえ、あんたがいてどうにかなるわけ無かった、そりゃそうだ」
「遅かったな立原。リアは?」
「あっちは遊撃隊の二人とジイさんがいるんで問題無いかと。何せリアが強すぎて俺の出番もなさそうですし」
ん?リアが強すぎて??
それは分かっていた話だが言い方に違和感を感じる。
「立原、リアが強ぇのは前からだろ」
「マジで痺れましたよ、あんなもん誰が勝てるんだって感じで「落ち着け立原」あああ、中也さんにも見せたかったけどこっちが先ですもんね!で?俺はどうすりゃいいんです?」
相手、もう残ってなさそうなんですが。
見渡した立原に、主に白鬼院と渡狸が全力で首を縦に振った。
そんなに驚かせたか、悪いことしたな。
「さすがにこいつらの前だから加減はしたんだがな……全員回収しろ、後は芥川に一任する。うちの参謀長攫おうとしてくれた奴らだ、何しても構わねぇよ」
「御意」
黒服を引き連れて縄で縛り、全員引き連れて退散してくれた。
「ああ、あとリアから伝言です。腹減るから中也さんの飯がたらふく食いたいと」
「そりゃあ俺が“ここ”にいねぇと困るわけだ」
ちなみに表はマジで心配ないですよ、あいつが無双してますんで。
言いきったそいつに礼を言いつつ後を頼むと、また少ししてから広津のジイさんがやって来る。
「中也殿、先にご報告を」
「お疲れ広津、悪いな急に呼び出して」
「いえ。それで表の状況なのですが、立原が引き連れていった三倍規模の敵勢力を……白縹殿が一掃してくれてしまいまして」
目が点になる妖館メンバーだが、夏目と御狐神と蜻蛉は平常運転らしい。
「そこに群がってきた純血の妖怪と思わしき者共も、力及ばず……我々はこの建物内へ侵入しようと、また逃げようとする者を倒すのみでとても面白い光景が広がっております」
「立原も言ってたが、手前もそんなに言うほどなのかよ」
「ええ、何せ人魚に変化なさって戦闘しているのは初めて見るものですから」
「聞いてねぇぇぇえっ、一っっっ言も聞いてねえええええ」
「壮観でしたよ、まさか水辺になると本領を発揮なさるとは……海は水量に際限がありませんからね」
そうか、海辺か。
「そりゃ心配いらなかったな、さぞ強かったろ」
「あれでどうして幹部に昇進なさらないのか不思議ですね」
「本当にな」