第12章 キツネアザミと矛盾の芽
最近彼女には新たな楽しみがある。
「リアちゃんほんとハマってんねそれ」
『中也さんが買ってくれたんですけど』
「娯楽はいいけどちょっとジェラシー?いややってるのは可愛いんだけどな??」
『それもあるから好き〜♡』
そう、所謂ゲームいうものである。
太宰が“好きそう”だと言っていたのを真に受けて与えてみたところドハマりしてしまっているのだが、特にRPGやバトルものに新鮮さを感じているらしい。
『無機物だと先を勝手に読みにくいからいいのよね』
「へえ、まあテーブルゲームなんかはおまえ気遣っちまうもんなあ?」
『そんな事言ったことあったっけ』
「見てれば分かるよ、おまえも夏目も毎回審査側とか主催側とかばっかやってるだろうが」
目を丸くさせてからごろにゃん、と抱きついてきた。
おーおー可愛いな、どうしたどうした。
『いや、べつに』
「リアちゃんは嬉しくなるとすぐ抱きついちゃうもんなあ?」
『だって中也さんがやさしくするから』
「そりゃするだろ、まあゲームは太宰と立原の提案だったけど」
『中也さんが買ってくれたもん』
むくれて何かを抗議されたのだが、つくづく俺が好きな子だこの子も。
「まあ俺はリアちゃんの保護者でもありますから?」
『ゲームは“毎回”新しくなって変わっていくもんね、もしかしたらちょっと面白いかもって思ったり「もうなんでも言っていくらでも遊ばせるからおまえ」中也さんは甘やかしすぎね』
「バカ、他の奴らが甘やかさなさすぎなんだよ」
あと一々俺の膝の上にやって来てゲームすんの可愛い。
抱っこされてないと嫌なんだもんなぁ、うんうん。
『中也さんがしたそうにしてたから』
「なんだそれファンサか?俺以外に禁止ね」
『最近やっぱり頭やられてきてますよねあなた』
口ではまともそうだが尻尾がぶんぶん振れていらっしゃるぞリアちゃん。
『中也さんはゲームしないの?』
「あー……一緒にやる?あんま考えてなかったわ」
『そういうところ人の事言えませんよ中也さんも』
「何おまえほんといい子……俺はリアちゃん可愛がるのに忙しいからそんなにやるかは分からねえけど」
『親バカ』
嬉しそうですけどねお嬢さん。
まあそれにしてもゲームなあ、おまえがやってるやつゴリゴリに頭使う上にVery Hardモードとかでやってるだろこの天才が。