第12章 キツネアザミと矛盾の芽
『中也さんがリアのことえっちな目で見てくれない』
部屋に入るなり突然の爆弾発言をぶちかましてくれやがったお嬢さんをベッドに寝かせ、手を握る。
「何を見たらそう思うのか教えていただけるか純粋お嬢様こら」
『結局パーカー着せられてから水着見てくれなかったもん』
「あのな、あんな凶器俺以外の誰にも見せなくていいんだよ。俺だけが見れればいいんだから本当は」
『他の人のは見てたくせに』
興味無え上に見てねぇよ、とキスの雨を降らせるとようやくノってきたのか、尻尾が俺に触れるようになってくる。
「今日はそんなに一日不安だったのかよ」
『…………だってやだもん、中也さんと離されるの』
お?珍しく素直な出だしじゃねえか。
「そりゃそうだろうな、俺も嫌だよ?」
『あと半年も一緒にいられるか分からないのに余裕とか無くない?』
「も〜〜〜おまえはまたそういうことをだな!すぐに見つけて攫ってやるよ、任せろって」
『リアは一分一秒だって中也さんと離れてたくないのにそんな風に言うんだ』
「なんでおまえ今日そんな可愛いの?その調子でもっと言えよ」
『いつもよりひとりじめさせてくれなかったからリアさみしかったのに』
やっぱり寂しかったんじゃねえか。
『やっぱり色気が足りなかったのかなとか、水着気に入らなかったのかなとか色々考えるし』
「逆だよ逆、ずっと俺言ってなかった?」
『今日あんまり手繋いでくんなかった……』
めそめそしているとは正にこのこと。
あ〜これだよこれ、めんどくさ可愛いリアちゃん最高。
『せっかく紐で簡単に解けちゃうやつにしたのに』
「リアちゃん?」
『中也さん全然手出してこないし、渡狸とばっかり遊んでるし』
「リアちゃん、あの『リアが一番中也さんといるんだもん』当たり前だなあ???」
拗ねている……というよりはもしかして、駄々をこねられているのだろうか、これは。
ええ〜おまえそんなことすんの?そんなこと出来たの???
『あっ、また子供扱いしてる』
「いやあんまり嬉しくてつい」
『ふんだ』
「こっち向いて」
言われるがままに顔を向けてくれるのでキスして、繰り返していく。
『……も、恥ずかしい』
「ん、可愛いよ」
『恥ずかしいって言ってるんですけど、ねえ』
「昼間寂しがらせた分も構ってやらなくちゃなあ?♡」