第12章 キツネアザミと矛盾の芽
「リアちゃんって、いつが一番可愛いと思う?」
「また手前は何アホな話題を「中原は黙ってなさいよ毎日毎日リアちゃん独り占めしてるんだから」これでもまだ外に出してる方だろうが」
一同が会する食事はそう多くはない。
同じ場所に集まって同じ食事を……まあ髏々宮と、それに輪をかけてうちの姫さんはよく食べるけれど、そんな光景に浮き足立つのも分からなくはない気がする。
「リア、よければお冷を」
『えっ、ありがとうお兄ちゃ……あっ、えっとそうくん』
「どうして今言い直したのですか?」
『いやなんとなく』
「僕はお兄ちゃん失格で『お兄ちゃん!分かったお兄ちゃんね!!』僕は世界一の幸せ者です」
お兄ちゃん呼びに慣れさせている最中なのだろうが、やはり御狐神系女子には御狐神のやられ方が刺さるらしい。
よく分かっているようだ、あいつも。
「白縹さんはいつも可愛らしいだろう、ものすごく優しいしいい子だし」
「ちよちゃんもリアちゃん好き?」
「当たり前だ、学校での彼女の苦労の半分は僕を色々と庇ってくれていたからだということも知っている。本当にそっくりだよあの二人は」
今何か新情報が聞こえた気がするが。
「苦労の半分?」
「まさか聞いていなかったのか中原さんも」
初耳だが、と聞いていくと、どうやら白鬼院はその地頭の良さと悪態癖からかなり多くの敵を作ってしまっていたそうで。
「要するにあれだ、僕には言わないが堂々と僕を批判する奴らに意見してくれていたようでな。知らない事も多いのだろうがかなり救われていたんだ、彼女には」
まあ彼女は知られたがらなかったようだが。
言いきった様子からするに、距離を置いていたのだろうあいつも。
心配かけるとでも思ったんだろうな、そんなこと当たり前なのに。
「リアちゃん私達には優しいけどそういうの見せたがらないから」
「学校で話しかけてくるなとか言ってすぐどっか行っちまうしな。しかもどこ探しても見つからねえし」
こりゃ思ってたよりよっぽどだな。
『また渡狸がリアの中也さん取ってる』
「ええぇ、他の奴らと同じで話してただけじゃ『……』ていうかなんでさっきからそんなそわそわしてるんだよ?兄貴のところに行けばいいんじゃ____」
『そっ、そんなにお子ちゃまじゃないしリア』
「「「おっ?」」」
『別に仲良くしてればいいんじゃない』