第12章 キツネアザミと矛盾の芽
「白縹さんは個室にしなかったのか?」
『リア中也さんと一緒じゃないと寝れない』
「えっ、それは……」
「リアちゃん一人で寝れないから。多分中原さんも最近そう」
学生女子ズの話はこちらまで聞こえてくるが、俺の腕に抱きついて落ち着こうとしながら歩くリアはまだ耳がピンと立っているままだ。
白鬼院はその様子に察するものがあるようで、何もそれ以上は聞いてこなかった。
御狐神とはそっくりだしな。
『中也さんは私なんかいなくても寝れるでしょ』
「リアちゃん?言い直し」
『へ?……えっと、中也さんは一人でも平気??』
「俺はリアがいないと眠れませんが?」
『なんで?元々一人で普通に寝てたでしょう?』
「こんな可愛いご主人様に甘えてもらわなくちゃ寝れない身体にされちまったんでね」
『…………い、行きたかったら個室……今から取ってもらってもいいのよ』
リアちゃん、と言うと頬を染めて顔を逸らされた。
「君は本当に中原さんが好きだな」
『全然!!?』
「好きでもないのにそんなにずっと一緒にいられるのか?」
『全然一緒にいないもん、中也さんすぐ浮気しちゃうし「してねぇな」色んな人と仲良しだし……り、リアなんか最近まともにお話出来るようになっただけだもん。全然浅いし』
「渡狸、中原さんとイチャイチャしすぎだって」
「俺は決してそんなつもりじゃ!!」
『頭撫でられてたもん……』
まさかの拗ねポイントはそこだったらしい。
いやそんなことしたっけか。
「あれは点を取ったから褒めてくれてただけだろ!?」
あ、したわ。
全然してたわいつものノリで。
『リアが点とってもしてくれなかったもん』
「そりゃお前敵チームで……あ?…………えっ、もしかしてそれで拗ね『渡狸今日だけきらい』リアー!!!」
「悪いリア、ついいつもおまえにする癖で……そんなに嫌だったのかよ、可愛い奴だなまったく」
『中也さんの浮気者』
「そうだなそれは俺が悪い。いっぱい構うから許して」
『…………機嫌なおさせてくれるんなら許してもいい』
そうか、と抱き上げて横抱きにしたところで尻尾が増えてきた。
「じゃあ俺に構われてくれよ?言ったからな?」
『これは他の人にやってない?』
「するわけねぇだろ、リア専用の特等席だよ」
『チューは?』
「「ブッ!!」」
「仰せのままに」