第12章 キツネアザミと矛盾の芽
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『え、っと…………おまたせ、しました』
「なんでそんな可愛いの?????」
『か、かわいい?本当に??』
「ほんと可愛い、宇宙一可愛いおまえしか見えないもう俺ほんと生きててよかったこれだけで生きていけるもう、可愛いリア」
澄みわたる空に広がる海、白い砂浜と熱い日差し……そう、夏の海水浴、その日がやってきた。
というよりは水着リア様を遂に拝む時がやってきた。
遂に。
遂にだ。
『見すぎ……』
「可愛い」
『あ、の、一応人目があるんですけど』
「変態しかいないから大丈夫、おまえは俺が護るからな」
『あなたが変態の筆頭なんですが』
言われようが気にはしない。
抱きしめてよちよちしながら可愛い可愛いと愛でまくった。
日々の努力の甲斐あって、尻尾はまだだが鱗を戻して傷を癒すことに成功し、見事に傷痕も無くなって本人も嬉しそうなのだ。
こいつらと遊びに行くの楽しみにしてたもんなあ。
なんだかんだ女だし、やっぱり怪我とか気にするもんだよな、本当に治って何よりだ。
「まあそれで体力消耗して戻ってねえ分は無茶させるつもりないから、覚悟しておけよ?」
『いや、海で何の無茶をするんですか私が』
「熱いだけでも危険だろうが、俺の可愛い可愛いリアが」
『中也さんそれそろそろ飽きない?』
「そうだなあ、リアちゃんだなあ?♡」
『そういう意味で言ったんじゃ…………そ、そんなに可愛い?』
「そういうところがな」
可愛いよ。
『中也さん思ってることと喋ってることが逆』
照れてしまったが離れる気配は無い。
よくここまでデレてくれたものだ、こうして傍にいれば虫どもも寄っては来ないだろうし少しは安心だろうか。
「あっ、こら、日焼け止めがまだだろうが」
『え……?いや、リア日差しとか大丈夫な体質「だぁめだ、能力使うの禁止」でもそもそも持ってな____』
言いきられる前に出してみせると本気でうわぁ、と引かれてしまった。
おかしいな、女性に紫外線は大敵だと聞いて育ったのに。
『紅葉さんか』
「ほら、ちゃんと塗らないと」
『塗……っ、?中也さん、まさか中也さんが塗るつもり「背中とか届かないだろ、俺がするよ」えええ、何この人微塵も下心無いんですけど逆に怖い』
「下心って……ああ。夜は期待して待ってろよ?」
『!!!へ、変態ッッッ!』