第11章 珪線石の足音
切り込み隊長をとっとと車に連行して助手席に座らせ、拠点に連れ帰る。
『あはははっ、現場まで来ちゃうとか笑える……ッぷ、!もうちょっとマシな脅し文句あるでしょうに、あ〜面白……』
「おい……最近多すぎる。いい加減にしろ」
『いいじゃん別に。幹部が目くじら立てて一々飛んでくるだけで、私誰にも迷惑かけてないし。ちゃんと報告もしてるし?生存してるし敵は殲滅してるし、優秀じゃない?』
「おまえが優秀なことくらい誰だって知ってるんだよ、そうじゃなくてだな……おまえの身体を心配して言ってるんだ」
『なんで今チョコレートくれたの?』
「あ?疲れただろ」
『ほんとリアのこと子供扱いしてるわよね???』
とか言いつつ食うんだよな、おまえは。
今日も今日とてオーバーワークだ、せめてこれくらいは労われてろ。
本当なら三日は休ませて養いたかったところだが。
『うわぁ〜変態みたいなこと考えてる』
「誰が変態だ、誰が」
『あなた以外にいなくないですか?』
「言ってろ、絶対いつか泣かすおまえ」
『どっかの誰かさんが頼んでもないのに盾になっちゃうから何にも痛いことないのよね〜』
なわけあるか、と拠点に到着して最初に向かったのは医務室。
とっとと処置して包帯を巻いてやるのだが、また痩せてるなこいつ。
やっぱりまともに飯食えてねぇだろ。
「おい、痩せすぎだ」
『きゃ〜えっち♡』
「はぐらかすな。こっちは無理矢理おまえに連休付けることも出来るんだぞ」
『へえ、そしたらリアと会わなくてよくなるもんね』
「おい」
『リア悪いことしてないもん』
んな事誰も言ってねえだろうが、とこちらを向かせて目を見て言った。
「おまえ、さっきのわざと避けなかっただろ。それについては言わせてもらうぞ」
『分かってたんなら放っておけば良かったでしょう?』
「聞くようになるまで付きまとうからな俺は」
『まだ自殺の邪魔するんだ、よく続きますよね』
「おう、だからおまえはちゃんと、試すなら俺の目の前でだけにしろよ?俺がいない所でやったら本当に許さねぇからな」
『……』
おい、赤くなってないで何か言え。
『だ、って……だって、中也さんに悪いことしようとしてたから』
「おまえほんと俺のこと好きな」
『好きじゃないこんなクソ幹部!!』
「はいはい」
『リア悪くないもん』