第11章 珪線石の足音
『……何してるんですか』
「待てだよ、分かんねえ?」
『どこが待ってるんで……ッん、…………ぁ、まって首そこいや、あっ』
「ん?ここ弱ぇの?」
首筋に口付けて愛撫しながら頭を撫でる。
腰を捩って俺から逃げようとするのは無意識だろうか。
『ん、っン……なんでそんなやさし……ッん、ぁ、あっ…………も、むりらめ、ぁ、あッ!?♡』
空いていた方の手で腹部を撫でた途端に軽くトんだように見えた。
感度いいなぁ、こいつ。
『……?♡…………??♡♡』
「今イった?かわい」
『ち、ちが……ちがう、こんなのりあしらない』
「そうなのか?ずいぶん気持ちよさそうにしてたけど」
『だっていつもはもっと痛くて苦しいのに____』
いつもっつったなこいつ。
『…………えっと……なんでも、なくて』
「……話したくなったら聞かせて。嫌なら聞かなかったことにしてやるよ」
『!』
しばらく黙りこくってから、甘えたそうな声で、中也さん、と名前を呼ばれる。
できる限りのやさしい声を意識して、なに?と撫でながら返すのだが、彼女からされたのは拍子抜けしてしまいそうな可愛らしいお願いだった。
『中也さんの、その……ベッドがいい』
「……それ、ここにキスしていいやつ?」
『そこにしたら赤ちゃん出来ちゃうんでしょ?』
ん???
「リアちゃん、本気で言ってるかそれ」
『おさ……えっと、前の保護者の人に聞いた』
「あのな、キスするから出来るんじゃなくてその後の行為でだな?分かるか?エッチな知識はあるかお嬢さん」
『……………………知っっっってるよ!!!?』
全然知ってる、などと大嘘をつき続けている内に家に連れ帰ってソファーに座らせ、紅茶を飲ませてやる。
『美味し……えっ?美味しい、なんで美味しいの??』
「おかえりリアちゃん、ここもう俺の家な?」
『簡単に女の子連れ込んじゃダメなんだよ!?中也さんやっぱり女慣れして「おまえ以外に入れねぇよ安心しろ」ほ、ほんと?ほんとね???』
「おまえなんでそんな俺のこと好きなの?」
『………………好きじゃないし』
「いやどう見ても好きだろ」
『全然好きじゃな……あっ、え、なんで手離すの中也さん』
アホの子すぎて再び撫でてやった。
こいつ、いいなぁなんか。
「撫でられながらすんの好き?」
『……す、き』
「いい子」