第11章 珪線石の足音
『……触るなら早くしたらいいじゃないですか』
「もうちょっとなんかこう、ムードみたいなのとか気にならないかお嬢さん?ガッチガチじゃねえの」
『ビビってないし!!?』
言ってねえよ、と軽く頭を小突いてみるも、まあこんな小娘の肝が座りきっているわけもなく……めちゃくちゃビビられている。
「ていうかなんでそんな自信無さげなんだよ」
『な、なにが』
「スタイルいいんだし何も心配することねぇだろ」
『…………だって中也さんの好みじゃないかもしれな「え、俺?」なんでもない!!!』
うじうじしているリアをそのまま抱き上げてベッドに寝かせると、今度こそ覚悟を決めたように目を瞑られる。
死ぬほど緊張してるじゃねぇか、根はビビりなんだから無理しなくていいのに。
「電気消そうか?」
『へ……あ、えっと』
あからさまに一瞬目が合ったので消すことにした。
不安ならそう言えっての。
「それじゃ失礼させてもらうが」
『あ、は、はぃ』
「大丈夫、抱きはしねぇよ。ちょっと可愛がらせてもらうだけだ」
『酷いことしないの……?』
しねぇよ、と額にキスして撫でていると、腕をこちらに回して甘えてくる。
それでいい。
「やめとくならここも無理して触らせなくってもいいんだぜ?」
つん、と指で軽く服の上から胸元に触れると、ビクリと肩を震わせた。
『……ほかの人に、しないんでしょう?』
「そりゃそうだが……それが?」
『中也さんはリアの身体だけ知ってればいいじゃないですか』
リアちゃん???
『色目使われてるのに嫌がりもしないし「リアちゃん」り、リアのことなんかほんとはそんな……そんな……』
困った、想像してたよりもずっと俺のこと好きじゃねえかこいつ。
「おまえにしか興味無ぇよ俺は。服脱がせていいの?」
『好きにしたらい「リアちゃん、怖くしたくねぇから」!!……ゆ、ゆっくりして……あ、いや、中也さんが無理矢理の方が好きなら別に』
「ん、ゆっくりな」
再び瞼や頬にキスを降らせながら撫でつつ、トップスのリボンを解き、ボタンを外していく。
が、そんな最中……彼女の要望を聞き入れた、たったそんなことで、彼女のタガが外れてしまったらしい。
『……キスして』
「あ?……え??…………それは大事にしとけよ」
『だめ……?ちゅうやさん、りあのこと……なんでも、ない』