第3章 誰そ彼時のエンジェルイヤリング
「あららら、リアちゃん風邪??顔真っ赤…熱冷ましとか持ってる??」
『うっさい連勝、子供扱いすんな』
「出会い頭からお口悪いから結構弱ってんねぇこの子……昨日雨は降ってなかったでしょ?どうしたの…また濡れたまんまでいた?もしかして」
連勝の部屋に連れられれば、彼は中也におぶられた私と目線を合わせてそう聞いてくる。
無駄に勘の鋭い奴め。
『…忘れた』
「……水かけられたとかじゃないの?リアが俺と目合わせてくれない日って、そういう日じゃないの」
『!べ、別に……その、…………ごめん、なさい』
「謝んなくていいんだけどなぁ…リアは悪くないんだから。とりあえず入んなさい、中也さんもそのままじゃちょっとあれでしょ?」
「俺は全くもってキツくねぇんだけどな…お邪魔させてもらうか。とりあえず体温計借りていいか?………まさか手前も持ってねぇとか言わないよな?」
「言わない言わない。だって妖館でのリアの保健室だしここ」
それにしても懐いてんねぇ〜、なんて微笑ましそうな声を出しながら体温計を取りに行く。
「びっくりしたでしょ。この子、発熱あっても学校行かされてた子だから…世間知らずと言うよりは、刷り込み教育がすごくてね」
『余計なこと言わないで』
「事実でしょ。昨年までインフルエンザの自覚症状も知らなかったくせに」
『…私は学校、行かなきゃだから』
「お前仕事サボんの上手いのになんでそんなクソ真面目なんだよ?…サボるったっていないだけで仕事は毎回きっちり終わらしてっしよ」
お仕事はちゃんとしなくちゃ、折角雇ってもらってるのに森さんにも…この人にも迷惑かけちゃうし。
なんて暴露するとすぐに中也が真顔になる。
「お前そこまで考えてる割には俺の事任務中盾にしたり踏みつけたり舐め腐ったことしてたけど…そうか、意外と考えてたのな」
『…わざとじゃ、ない』
「……俺は、別にいいんだけどな?明らかにお前より俺のが強いし、任務終わりにああ言いはするけどそこまで本気で怒っちゃいねぇし。…けど、なんでそれが学校になったら休めねぇの?」
『だって、私は熱が出たくらいで休んじゃいけない子だから』
私の一言に、中也の表情がまた崩れそうになる。
それから連勝は体温計を持ってきて、私に差し出して、中也にまた言った。
「こーいうことよ。すごいっしょ?…幼稚園の頃からよこれ」