第3章 誰そ彼時のエンジェルイヤリング

｢ティッシュ使う？持ってくるけど｣

『…ティッシュ、？』

ぼうっとした頭で、彼の一言に問い返す。

｢下、濡れてるの伝ってるから｣

『………全部、私の？…初めて、こんなの』

｢…いつもは、ナカ掻き出してから風呂で洗ってたのか｣

『ん、…ど、したらいい？…拭く？の？？』

｢……俺が食べてもいいけど｣

まさかの提案に、ブワッと余計に顔が熱くなる。
そんなこと、してくれるの…？

本当に？本当に、私のなんて？？

『……汚い、よ…？』

｢俺のモン残しもせずに飲んじまった奴が何言ってんだよ｣

『…っ、ベッドライト、消して……恥ず、かしい…』

｢……いいよ。甘えてな、そうやって…全部好きにさせてやるから｣

薄明かりの源だったそれを消して、布団を捲ってから、私の下着に手をかけられる。

｢あんだけしてちゃさすがに手遅れだったか…かえの下着は？｣

『…中也さ、離れちゃう…っ？』

｢……履かずに寝るつもり？｣

ｼﾞｨ､と何も言えないで目を向けていると、少し困らせてしまったらしい。

｢風邪ひいちゃいけねえってのに…それなら約束だ。ちゃんと俺にくっついて寝ること………後、これ以上俺の事誘わないこと｣

『…ベッド入ってからリアのこと誘ったのそっち』

｢そうだったな、俺が悪かったな！！！｣

ガシガシと撫でられるのも悪くない。
…好き。

｢はい、じゃあとりあえず脱がせて大丈夫？｣

『…み、見えてない…？中也さ、恥ずかしいの見えてないっ！？』

｢見えてねえ見えてねえ｣

『……許可、取られたの初めてだから…おね、がい……も、死んじゃいそ…』

｢…リードして欲しい？｣

首を縦に小さく振れば、それを感じ取れたのか額に口付けて、また撫でられる。

｢よく言えました…素直じゃん。…じゃあ、もう少し頑張ろうな｣

『ぁ…、こ、わいのダメ…っ、や、やっぱりダメ…怖、い…怖いの、漏らしちゃう…っ、わたしはしたない子なの、ダメなの…！』

｢漏らしたっていいさ、生理現象だろそんなもん。怖いのはおかしな事じゃねえぞ…リアが女の子だってことだろう？｣

『！！！、…手、握る…』

せめて、貴方を感じさせてと。

伸ばした手に彼の指を絡められて、そこからはもう、彼に任せて…優しく、してもらった。

頭が飛びそうな刺激もなくて、なのに心は満たされていた。