第3章 誰そ彼時のエンジェルイヤリング
彼が今日、私の身体に触れるのを避けたいと思っていることは知っていた。
「…、どこ?こっち?」
『こ、えひびぃ…ッ…♡♡』
「あー…女狐無理矢理犯してる気分になってきた。……下、寂しい?ごめんな…けど、今日あんなことあったばかりだから」
『犯し、て…もう無理、犯していい、からぁ…っ』
しかし、それでも本能には抗えない。
だって知らない、こんなの。
こんな優しいの、私知らないの。
さっきから、懇願するように泣きわめいては、彼を困らせる。
ダメなのに、いけないのに、私にはこんなの耐えられない。
「いやだよ、大事にしてぇもん」
『やだァ、っまた、またイ…ッく、や、やだ!!やだ!!!こんなの嫌っ、無理矢理してぇッッ、知らないよこんなのっ!!!!』
おかしくなる、変になる。
怖い、自分がどこまで感じさせられればこれが終わるのか分からない。
こんなに愛されるなんて思わなかった、こんなに愛されてるなんて思わなかった。
愛を感じさせられるのが、こんなに怖いだなんて思わなかった。
「怖くない。怖くないから…ほら、またイけた。耳の奥舐められんの気に入った?可愛いぞ、リア」
『!!!…っも、…やめ、て…♡あ、謝るから…だ、から可愛がっちゃらめ……わ、たしおかしくなってる…♡』
「おかしくなんかねぇよ、キモチイイって言ってみ?それだけの違いだ」
『…きも、ちい』
小さな声から、始めていく。
「そう。もっと…もっと気持ちよくなっていいからな、リア。怖いことじゃない…根元の方も好き?」
『アっ、…♡…す、き…?…す、すき…っ、きもち、ぃ…♡♡』
怖いじゃなくて、気持ちいい。
嫌いじゃなくて、好き。
私が今まで自分に課していた洗脳が、簡単に崩れて溶けていく。
怖いものが、怖かったから…だからそれを気持ちいいって。
嫌なことを知られるのも怖かったから、だからそれが好きなんだって、ずっと。
それが、こんな耳への愛撫ひとつで…誰かから愛されるだけで崩れ去ってしまうようなものだっただなんて、思わなかった。
「ん、偉いぞ。もう気持ちよくなってきた…舌出して、キスしてぇから」
『!!…っ、…は、ぃ…』
いい子だ。
ベタベタに甘やかされて、可愛がられて、私喜んでる。
でも、仕方の無いことなのよね…?
だって私、誰かにこうやって愛されて…従順になりたかったの。