第11章 珪線石の足音

太宰の奴と散々よろしくしてくれやがったうちの姫さんはというと、奴が探偵社員に連れ戻されると共に大人しくなって、かと思えばてくてくと俺に歩み寄ってきて手をぎゅっと握ってくれた。

えっ、リアから来てくれた。

｢俺今日が命日か？｣

『…あの、ごめんなさい。……中也さん相手はやっぱり恥ずかしくて、その……が、頑張る』

｢リアちゃん頑張ってくれんの？一回握ってくれたら離すつもりねえけど大丈夫か？｣

『………中也さんが慣れて、って言ってた』

いやいい子かよ。
なんだこいつめちゃくちゃいい子じゃん。

『中也さんの手いっつもひんやりできもちいね』

｢俺は冷酷非道らしいぜ？お嬢さん｣

『中也さん優しい人じゃない』

｢ははっ、まだそんな風に言ってくれんのか｣

ありがとうな、とキスすればポっと頬を染めて照れ、目を逸らされる。
可愛い奴め。

きゅうぅ、と手を握る力が増してきたのも可愛らし…いやちょっと待て、なんでこんないつにも増して熱烈に繋いでくれてんだ嬉しいけど。
つーか顔まじで赤＿＿＿

『そ…それ以上可愛いって思うのやめてほしい』

｢それは無理な話だろ〜…｣

『だっ、だから手握ってられな…う…っ、ん、んぅ…ｯｯ、♡』

めいいっぱいキスして可愛がることにした。
指を絡めて繋ぎ直して、彼女の様子を見ながら触れるだけのキスを繰り返す。

強請られるまでそれ以上は我慢だ、多分また気遣わせちまう。

『ふ、…ふぅ……っん、…♡……んん、♡………っ、はぁ…ｯ』

｢おお、息吸えるようになってきたじゃん｣

『ぁ、手しながらキスもうらめ…』

｢気持ちよさそうだけどなぁ？｣

『ら、らかららめ』

腰を抜かしそうになったのを支えて二、三度追撃し、何も言わなくなってしまったところでお着替えを開始させてやる。
今日もうんと可愛くしてやろう、手繋ぎながらキスされるのが好きで好きでたまらないうちのお姫様に。

『あなたと手繋いでると頭おかしくなりそうになる、』

｢おかしくなっちまえよ、全部面倒見てやるぜ？｣

『そういうところ素で言ってるから余計に頭バグってくるのよこっちは…』

｢バグっちまっていいよ、可愛がってやるから｣

『……中也さんやっぱりだっこしよう？？？』

｢お前いつの間にそんな可愛いおねだりできるようになったんだ〜？？♡｣

好きなだけだっこしてやるよもう