第11章 珪線石の足音
「やっほ〜私の愛娘ちゃん♡朝から治さんに会いたかったのかなぁ〜???♡」
『なんで来るのよお!?』
「リアちゃんに呼ばれてこないわけ無いでしょ〜♡♡」
『んぶっ、……あ、あっそ!!』
数日ぶりの太宰による真正面からの抱擁が嬉しかったようで、完全変化して嬉しそうに尻尾を振っていらっしゃる。
まあ俺は大人だからこれくらい?リアが喜んでいるのだから?
かまわないが?????
「はい、コ〜ンコン♡」
『こーんこん、?』
「私の名前は〜?」
『治さん…!♪』
なんだあれ俺もやりたい。
手首を持って彼女の手を動かして遊ぶ太宰に目線で殺意を当てるのだが、気にも止められないようである。
「今日はどうしたんだい、私のリアちゃん♡」
『!えっとねぇ、治さんリアが手握ったらどんな反応するかなあって思____』
言うが早いか、なんだそんなことか、と一言。
「これで分かる?」
ぎゅう♡と楽しそうににやけ顔で両手共握りやがったあいつに振りかざしかけた拳を押さえ込んだ。
落ち着け、リアのためだ、これは可愛い可愛いリアのため。
『…え?なんで握っ…えっ??』
「握りたかったんでしょ?知ってたよそのくらい」
『ぅ…?やじゃ…あ、え…嫌じゃ…』
「私の声聞いてまだ正気でいられるなんてさすがだねえリアちゃん、まあ離してって言われても離すつもりないけど♡」
『あ、ごめんなさい中也さんの方が五倍は気持ち悪いからなんか耐性が』
ドン引きした目で真顔で見つめられた。
やめろその顔、なんだよそれ口で言えよ手前。
「私の五倍って…えっ、五倍?私でも結構だと思うのだけれど」
『中也さん同時進行で私の妄想色々できるみたいで』
「君も大変な奴を選んだもんだねえ、今からでも私に乗り換えとかないかい??やめておきなってこんな変態」
『でも治さんより優しいし治さんみたいに鬼畜じゃないから』
「今ならうんと優しくするよ?♡」
『来世で中也さんより優しくしてくれるなら考えてあげてもいいかもね』
「目の前で人の女口説いてんじゃねえぞ手前!?こっち返せ!」
「……リアちゃん離れたくなさそうだけど?」
「仕方ねぇなぁああああ!!?!?」
確かにいい顔してるからな。
『リア中也さんとこ戻るね』
「えっ、リアちゃん?」
『国木田さんも呼んでるから、それまでゆっくりしてて』