第11章 珪線石の足音
「なんて言われたの?」
『…ほ、保存してくれたって』
「リアちゃんの写真なら何でも保存してそうよねえ…NGは出なかったの?」
『うん…多分』
「柄物とか色も種類あるわよ♡」
『……!そ、それあの…ショートパンツついてるやつにする』
出来るだけ彼の視線を逸らせるようにと手に取って、試着室に入っていく。
色は…淡い系って言ってたっけ。
『どれがかわいい…?』
「…そうねぇ、ピンクにしてみない?」
『ピンクの方が好きかなぁ』
「…………あ、ごめんなさい。リアちゃんピンクより水色の方が似合うわね…うん、こっちにしましょ。それと、下隠すならスリット広めのパレオの方が脚見えるし中原が好きそうじゃないかしら」
でもこうすると上がちょっと可愛すぎるのよねぇ…、と悩み始める野ばらちゃんはやはりセンスがいいのだろう。
中也さんと同じこと言ってる。
ほんとによく私のこと見てくれてるんだ。
「ホルターネックなんでどうかしら?」
『…えっと、着てみる?』
「うんうん、頑張ってみて!」
あ、でもこの紐解くの中也さん好きそ…
選んでもらったそれに着替えて見てもらえば、これでいきましょうと即答される。
写真にも撮られないし、中也さんに知らせるような雰囲気もない。
『これ好きかな、中也さん』
「あいつ人魚のリアちゃん大好きじゃない♡」
『ぅ、…ん……でもあの、胸あんまり…』
「盛るのよ…リアちゃん、折角こんないいものを持ってるんだから」
『……じゃああの、買ってく____』
ここにきて店員さんに声をかけられ、トレーに乗った黒色のカードを見せられる。
見覚えのありすぎるそれに何も言えなくなったけれど、にんまりと嬉しそうな野ばらちゃんがじゃあそれで!ととっとと購入にゴーサインを出してしまうのだ。
『な、なんで…リアちゃんとお金用意してきた…』
「パパに買ってもらえばいいのよ水着くらい」
『…んん、中也さん』
「呼んだらすぐ来てくれるんじゃないかしら?ありがとうってお礼言ってもらえると喜んでもらえると思うわよ♪」
『え、と…じゃあ、あの……ちゅうやさん…』
あっ、連絡するとかじゃなくて普通に呼んじゃうのね?♡
よちよちと撫でてくれる野ばらちゃんに好きにされているうちに、風をきって走ってやってきたスーパーパパに抱き上げられる。
「俺だぞぉリア♡」