第11章 珪線石の足音
「どういうのがいいとかあるかしら?」
『えっとね、中也さんが好……モテそうなやつぅ…』
「…つまりお姉さんが一番興奮すれば間違いないんじゃない?」
着信音を入れて抗議された。
ダメだったらしい、と、報告したところで思い出す。
メッセージを入れられたのを確認し、それを野ばらちゃんと共に見た。
「エロいの禁止…可愛いやつ、って……」
『お色気作戦は効き目なしか』
「ううんリアちゃん、ものすご〜く愛されてるのよこれ」
『……か、可愛くて悩殺的そうなやつ?』
「悩殺は諦めてなかったのね…でもリアちゃんそもそもスタイルいいし、水着で攻めなくても肌が見えてるだけで十分なんじゃない?ていうか中原に水着姿見られるのは平気なの?」
『ぁ、』
え?と驚く野ばらちゃんに向き直って、どうしよう、と焦り始める。
そうだ、水着見られる…見られる。
『中也、さんには…恥ずかしく、て……どうしよう…?』
「…三角ビキニとかは『ブラ見られるの苦手なの、』じゃあチューブタイプとかは…あっ、このあたりはどうかしら?オフショルダーでフリルついてる」
『でも服っぽいと中也さんガッカリしないかなぁ?』
「することないと思うわよ…?それにガッツリ肩開いてるとかこれはこれでそういうフェチなら結構そそるものが……って、リアちゃん?割とキスマークつけられてるしいけるんじゃない?デコルテ出していきましょうよ」
『でもあの、お色気的な「あいつリアちゃんなら何でも興奮できるでしょ」ほんとかなぁ』
試着を勧められるので着替えに行って、初めて着るタイプの水着に苦戦しつつもそれをなんとか野ばらちゃんに見てもらう。
すると彼女に指示されるので、片手で目元を隠して座りこみ、カメラに顔を向けてそれを撮影されて。
「うふふ、いいわねえ…♪」
『こういう撮影あるわよね』
「これ中原に送り付けていい?」
『…反応は気になる』
とっとと送信された某ジャンルのDVDなどのパッケージにありそうなその写真。
即座にかかってくる電話を取り、彼の反応を待ちわびる。
「…………そういうのは、な。…あれだ、うん、あんま好きじゃねえから」
『悩殺できた?』
「保存はした」
『変態』
「俺以外に保存させんなよ。似合ってる」
『………………!!べ、別のにするし!!!』
「おう、楽しみにしてるわ」