第11章 珪線石の足音
「リアちゃんとお出かけなんていつぶりかしら〜♡よくあの中原が許可なんかしたわ、今日は野ばらお姉さんとたっっっぷりイイコトしましょうね♡♡」
『…えっと、どうしよう?』
「とりあえずそうね、キャミの肩紐に指挟んでもい___」
野ばらちゃんが言いかけたところで、私の携帯に着信が入る。
二人揃って呆然として、少し間を置いてからそれに出ると、お相手は我がシークレットサービス様。
「変態に注意しろよ?」
『貴方どこから盗聴してるんですかこれ、休みなんだから休んでって言ったのに』
「休みだからお前の声を聴いてんだろ?」
あ、はい。
一言言ってから強制的に通話を終了させる。
…あの人多分近くで尾行してるなあの感じ、建物の中でも比較的静かなところでしょうけど。
「リアちゃん、何かされたらお姉さんに相談するのよ?」
『…………うん』
「…あら、意外と嬉しそう?愛されてるのねえ♪」
『!!べ、別にっ…み、水着!そう、水着見に行くんでしょ野ばらちゃん!』
「はいはぁい、喜んで♡」
スケジュールの合いそうな平日のお休みを一日いただいて、野ばらちゃんと二人で水着を選びにショッピングモールにやってきた。
女の子同士でお買い物とか、なんか久しぶりな気がする。
学校じゃあんまり友達できたこともなかったし…せめてまだ覚の力さえなければと思っても、どの道自分にさし迫る危機に心づもりをすることも出来なくなるだけになるだろうから、あまりそういうものも関係ない。
それに野ばらちゃんには、“いつも”お世話になっている。
『の、野ばらちゃん…あの』
「ん?どうしたの?」
『え、と…み、水着選んだ後と、か……時間ある?かな』
「今日はデートするの楽しみにしてたのよ〜?一日空けてるわ♡」
『!…お、お茶とか…行かない?』
「行く行く…もう何の契約書にでもサインする…」
鼻血が流れ始めていたので即座に応急処置死に回って止血した。
野ばらちゃん、ほんといつになっても私のこと嫌いになってくれないんだから。
それどころか率先して味方してくれるような人だし…うん、連勝が好きになるのも頷ける。
『私も野ばらちゃんみたいに可愛げあったらな、』
「…着信鳴ってるわよ?」
『野ばらちゃん出て』
「もしも「世界で一番お前がかわいいぞリア!!!」あんたこれストーカーって言うのよ??」