第11章 珪線石の足音
膝に乗せてソファーに座り、なでなでタイムを経てから食事を開始する。
「何から食べたい?なんでもいいぞ〜」
『…』
が、じっと俺を見つめて何故か耳を垂らしてしまう彼女に冷や汗が出てきたような。
あれ、今度は俺の何がいけなかった…?
つーかこのサイズ感でもやっぱ美少女は美少女だな、さすがは麗しのリア様だぜ。
「中也さん、中也さん…!」
小声で呼ばれる立原の方をちらりと見れば、手で俺に何かを伝えようとジェスチャーをしてくれている。
その動きにハッとして再びリア様に向き直り、なでなでして見ればピク、と耳が生気を取り戻したようにピンと立った。
こ、これか…!!!
「り、リアさん?」
『さん…?』
「リアちゃん」
『ちゃん♡』
はにかむ笑顔が尊くて過呼吸になりそうになったのを耐えた。
何だこの生き物。
「あの、なんでまたいきなりその…ちっちゃく??」
『……嫌いならやめる』
「んん゛ッ、嫌いじゃないですけども」
『じゃあなんでそんな要らないみたいにして言うの』
「んなことねえよ!!?一言も言ってねえだろ!?」
俺と出会った頃のような猜疑心、それからこのくらいの見た目の年齢相応の純粋さや素直さを感じたような気がした。
思考は元のリアのままなはずなのだが、どこか幼くなったというか拙くなったというか。
「ただあれだ、理由が知りたくて…お前の能力なんだろう?それは」
『聞いてどうするの』
「え…と?」
『聞いて大したこと無かったら、とっとといつも通りに戻れって思ってるからそんなこと言うんでしょ』
「おま…、そういうことはせめてちゃんと読んでから言え?読んでいいってあれだけ言ってるだろ?そのままでも構わねえけど、何かあったのか心配だから聞いてるんだよ」
『…身体、ちっちゃくしてた方が楽だからしただけ』
恐らくエネルギーが足りていないのが原因だろう、要するに大量に飯をちゃんと食べれば平気になるようなもの。
そう理解して、言った。
「そうか、じゃあちゃんと食べれば元気になるんだな?」
『ぁ…、うん』
「それならいいわ、まだしんどいなら好きにもたれかかってろよ」
『……中也さん、子供きらい?』
「…何、どうしたんだよ」
『聞いてみただけ』
好きでも嫌いでもねぇけどお前は別だ、とはっきり言って撫でておいた。
さっきから調子が狂うな