第10章 アザレアのひととき
何度か彼女の身体に触れることがあって、分かったことがある。
むしろ今回はそちらがメインで、この子を可愛がりたいと言った言葉そのものを実現させるための強硬手段がこれだっただけ。
二度三度と絶頂を迎える度に褒めて甘やかして愛でるを繰り返し、そうする内に彼女は素直になって本性を現してくるようになってくれるのだ。
「まだ胸しかいじってませんよお嬢さん」
『う、そつき…お腹、押して……っ、…そ、それ弱いって知って…』
「何か不服そうだなぁ?」
『なでなではぁ…っ、?』
くずって泣きながらなでなでを仰せである。
きた、来ました、リアちゃん甘えんぼさんタイム待ってました。
「よしよし、なでなでして欲しかったんだなあ?」
『だって中也さんリアのことほっぽってどっか行っちゃうんだもん…!』
「そっか、そんなに俺と居たかったか」
『浮気した?り、リアより好きな部下出来てない??』
「出来てねぇって。お前が一番だよ」
『ううぅう〜〜〜〜〜っっ』
なんだよ浮気って、そんなこと気にしてんのかこいつ。
浮気も何も告ってんのも口説いてんのも俺の方だってのに。
全く、可愛らしいお嬢さんだぜ。
「俺が誰彼構わず口説くわけねえだろ」
『えっちしてない?』
「する相手いねぇよ。他には?」
『中也さん家の鍵ちゃんと持ってきたもんリア!』
「お〜えらいえらい、失くしてねぇじゃん」
ちゅ、ちゅ、と全身キスして回りながら抱き寄せたりなでなでしたり。
機嫌をひとまずなおさせようとする内に、また態度が変わって泣きついてくるようになる。
『…、お、お家行っても中也さん居なくて』
「そうだなあ、俺こっち来てたからな」
『中也さんのにおいいっぱいする、のに…寂しかったぁ…っ』
てっきり強がって使わねえと思ってたけど、よっぽど寂しがらせてたらしい。
俺なりに信頼してるっていう誠意をこめて預けてたんだが、寧ろ余計に寂しがらせちまってたみたいだな。
「もう大丈夫だからなぁ〜?よしよし」
『中也さんと別行動の作戦全部却下してやるぅぅ…』
「好きなようにしろよ作戦参謀長さん。俺としてもそっちの方が安心だ」
『中也さん抱っこは…?』
「はいはい、ただいま」
めんどくさ可愛い…そうそうこれこれ、この感じな。
「背中ガラ空きだぜえ?リアちゃんよ」
『あ、…っ♡』