第10章 アザレアのひととき

作戦決行まで時間が出来てしまったので、部屋に案内してベッドの上で膝枕。
飼い猫のように可愛がってやる。

｢わざわざ遠方までありがとうなぁ｣

『いつになったら元に戻ります？うざ』

｢嫌じゃねえくせに｣

『……次置いてったらマフィアやめる』

｢とか言いつつ残っててくれそうだけどなお前は｣

『信頼しすぎ気持ち悪』

お口が悪いですよお嬢さん、と抱き寄せようとしたところで、手にふにゅん、と柔らかな感触。
…あれ、なんだこの感触知ってるような知らないような。

『…ぁ、え…？』

｢…………ちょっと育った？｣

『最低！！！は、離し…恥ずかし、から…っ』

｢抵抗しねえの？｣

『ひあっ、！？♡』

暫く女と接してなかった弊害なのかなんなのか、調子に乗れそうな気がしてきた。
いやまあ、このままの勢いで食べるなんてことはしたくはないけれど。

こいついい反応するよなぁ…。

｢あ〜〜〜くそ…、……手出していい？｣

『もう出してる人が何言って…？へ、あ…手出すって、あの』

｢キスとかセックスまではしねえけどよ…可愛がりたくなってきた｣

『何そのタチ悪い性癖……って、ちょっと！？』

｢悪ぃけど正直ムラムラしてっから、嫌ならちゃんと嫌だからやめろっつってくれる？今日身体使っていいとか言われたら真に受けかねねぇから頼むわ｣

ベッドに組み敷いて、目を合わせて問う。
困惑しきった様子の彼女は口をパクパクさせながら、しかしやはり抵抗はしないようで、えっと、と声を絞り出した。

『よ、よく意味が…それなら、あの……せ、…せっ、くすしな、いと…意味無いんじゃ…』

｢お前のことまだ口説けてねぇみたいだからなあ俺は。流石にそこは意地でも我慢するよ｣

『キスもしないって、そんなのあの…わ、私が…あ、あれ？なんていうのこれ？？？』

｢愛撫だけで調教されるってことかねえ？｣

『待って、待ってよ…中原さんなんで今日そんながっつい、て…………ぁ、え？…そんなに会いたかったんですか』

｢俺はお前で抜ける男ですけど｣

『遂に本性出してきましたねこの変態幹部！？』

｢知らなかったか？そこまで鈍くねえだろお前｣

どうやら俺がそういう目で見ていることは多少なりとも伝わっていたようで、う、と言い淀んで顔を逸らされる。

『…こ、怖いことしないならあの……好きに、して下さい』