第10章 アザレアのひととき
「西方の抗争の制圧…ですか?」
「そうなんだよ、少し頭を悩ませていてね…君に向かってほしいところなんだけど、リアちゃん絶対ついて行くって言いそうじゃない?中也君的にどうかなって」
「…まあ、問題ないと思いますけど」
「ちょっと色々と事情があるんだけど、日が沈んでから外にいるとすごく危ないのあの子。一応提携してる宿は大丈夫なようにちゃんと特殊な結界をつけてあるから、建物の中なら大丈夫なんだけどね?」
なるほど、日頃の夜間の任務で何やら色々と言い合ってたわけだ。
「結界の外にいると厄介な輩に目をつけられて狙われちゃうし、夜でなくともあの子の敵は多いから、中也君にはちょっとだけ警戒しててほしいんだ。あの子は嫌がりそうだけど」
苦笑しながら言う首領とは何度も話してきたことなのかもしれない。
敵が多い、ねえ?
「俺がついてりゃ解決します?それ」
「するする、中也君くらい強かったら大丈夫。リアちゃんも強いけど、一人で放っておくと無茶するからあの子」
「ははっ、絶対任務中うざがられそうですね」
「分かりにくいだけでリアちゃんの優しさなんだけどねえ…とりあえず、リアちゃんの体力が回復するのを待ってから。長期になるだろうし、お目付け役頼める?」
「勿論です、任せてください」
「そう言ってくれると思ったよ。…まあ、リアちゃん本人がついて行くならの話なんだけどね?あの子まだ学生さんだし」
ピシッ、と思考が停止した。
今この人、なんて言った???
「…学生?」
「そう、学生さん♪流石に休暇も明けちゃうだろうし、県外に長期滞在はまずいかなぁって…まあ交渉の余地はあるし、リアちゃん頭良いから色々と免除には出来るだろうけど」
「あいつ学生しながらマフィアなんざやってるんですか?」
「そりゃあ自分を助けてくれた人に面倒見てやる、なんて言われちゃったらねえ…来るでしょ、あの子なら」
それと同じように、遠征の任務にもか。
学校通ってたなんて一言も聞いてねえぞ、よっぽど融通の利く大学か何かか?
「それ、俺があいつの同行拒否したらどうなると思います?」
「あははっ、聞くまでもないだろう?」
「けど学生なんですよね…?」
「本人は多分君について行きたがるだろうけどねぇ…リアちゃん学校苦手だし。春休みに入れば休みもまだとれるだろうけど」
さて、どうしたもんか。