第10章 アザレアのひととき

｢とりあえず今日は二人共休みにしておくから、リアちゃんはゆっくり休むこと。中也くん、見ていてもらってもいい？｣

『リア一人で休めますけど』

｢ダメ、君一人で放っておいたら勝手にまた仕事するでしょ｣

『そんなことしないもん』

｢じゃあ中也くんもらってもいいの？｣

『ぅ…、……も、もらうって？』

雲行きの怪しくなるリアクションに、違和感。

｢言葉の通りの意味だよ？リアちゃん以外の子と組ませるし、お仕事するんだから…そうだねえ、リアちゃん以外の子とお昼ご飯も食べるし、リアちゃん以外の子から差し入れとかされるかもねえ｣

俺がいつどこでそんな人間を作ったことがあるだろうか。

｢それでもし中也くんがその子のこと気に入っちゃってもいいの？｣

『そんなの勝手にすればいいでしょおっ！！？』

いや、怒るんかい。

｢だそうだけど、どうする？中也くん｣

｢ああ、はい。じゃあとりあえず具合が良くなるまで俺がついてます｣

｢だって。良かったねリアちゃん♡｣

『…？な、何が…って、わっ？なに、何！？』

わしゃわしゃ撫でるのを嫌がりもしない。
まあそりゃそうか、こいつ撫でられんの好きだしな。

｢回復するまで面倒見てやるよ、泊まってっていいぞ｣

『……へ？』

｢保護者とかいう奴に連絡だけ入れとけ、心配してんだろ｣

｢ああ、それは僕から入れておくよ。リアちゃん、中也くんリアちゃんのところにいてくれるってさ♪｣

『うそ、なんで』

｢お前が体調崩してんのに誰も見れねえなら仕方ねぇだろ｣

言った直後に、何故か首領から肘鉄を食らわされる。
えっ、首領が肘鉄って、えっ？？？

『わ、分かった。じゃあ家帰って適当に誰かついててもらうし…し、仕方なくとかあの、したくない事しなくていいから』

｢！？いや、白縹？｣

『本当に大丈夫、お騒がせしま｢リアさん！！｣！！？…は、はい？』

｢…え、えっとだな？仕方ないってのはそういうニュアンスで言ったんじゃなくて……単に俺も心配だから見てるって言ってるんだ。わかるか？｣

ちらりと首領に目線を向ければもうひとこえ、とアイコンタクト。
まだか、まだダメなのか。

『…えっと、もういっぱいご飯食べさせてもらったから』

｢……！俺に養われるくらいの勢いでいればいい、お前なら許す！！｣

｢えっ？｣

『えっ』

｢…………えっ？｣