第3章 誰そ彼時のエンジェルイヤリング
「____ッッ、リア!!!見つけた!!!!」
『!!…あ、…中也。朝ぶりね』
狐火を咄嗟に消して、ニコリとからかうように笑ってみせる。
「お前どういうつもりだよ!?携帯鳴らしても連絡ねぇと思ったら執務室に置いて行って…、?……お前、靴は」
『転んで池に落としちゃったの。探してたらこんな時間になっちゃって…多分、どこかの溝に流れ込んじゃったとかかなって思ったから、まだ捜索中』
「……先祖返りのお前が、こんな時間まで一人でか」
『だってほら、カルタ達に付き合わせるわけにもいかな「その髪、どうした。今日結んでただろ」多分転んだ拍子に外れちゃったのね…ごめん、なさい。私、…ごめ、ん……なく、した…』
ぽろ、と、流したくないものがこみ上げて溢れ出す。
ダメ、止まって…ダメ。
「物、なくしたくらいで謝んな…よ、…?」
抱き寄せられたら力が抜けて、地面に崩れてまた当たる。
『っっ、…い、た……ぁ…』
「…何、隠してる。言ってみ……じゃねえと、無理矢理直接見て確認することになる」
『ほん、とになんでもな…い、の。…いつものこ「古びてる方の体育倉庫…迎えの時間に来た時には閉まってたのに、開いていた。中にあったのは縄と布と…何故か女物の下着と破れたタイツに、靴だった」…へえ、そうなんだ』
「……腹、痛いか。ここじゃあれだろ…部屋、とっとと連れて帰る」
バレてますってか。
…全部、知ってるって、?
『中也…私余計に変な子になっちゃった。子孫を残すのに関係ない場所抉られちゃったの』
「…俺なら、そっからお前が求めちまうくらいにハマらせてやるぜ?」
背中じゃなく胸の前で、横抱きにして、また優しくする。
『……なんでお姫様抱っこなのよ。顔見んなっつってんでしょ』
「悪い…ただ今の話聞いたら、お前が何されたのか分かったからよ。……他に使われてたモンは皆置いてあったけど、まだ一つ抜けてないんだろ」
背中で支えたら、余計に抉っちまう。
私に嘘が通用しないと分かっているから、彼は誤魔化すことも言葉を選ぶこともせず、ありのままを伝えてくれる。
『…たす、けて……わ、たしこれ…怖、い…』
「……部屋戻る前に寝付いちまえ。お前の怖いもんなんか全部俺がぶっ壊してやる」
以前のようにキスを降らされて、撫でられて。
ゆったりと歩いて…二人で、帰ってきた。