第10章 アザレアのひととき
今日はフェラも禁止にして、彼女が落ち着けるまでゆったりと抱き合っていることにした。
あの感じだとマジで開発してけばもっと感じやすくなりそうだったしなあ…細めのやつで何か調達してみるか。
『…』
「どうした?そんなに見つめて」
『…………自分で、その…触れないとこまで、好き勝手されちゃったから…変な感じ』
「ははっ、俺の方がリアの身体のこと知ってっかもな」
『あ、の……えっちした後でも、その…』
言わんとすることを容易に察せたので、言い淀んでいる彼女にまたキスを繰り返してから聞いてみることにした。
「デートしてくれるかって?」
『!…うん』
「いくらでもいいですよお嬢さん、今日は何しましょっか」
『あ、あのね?パンケーキがすごいお店があるって!』
「おー、他には?」
『…………えっと、アイス屋さん?』
予想通りの食べ物オンパレードにぷっ、と笑いながらも撫でておく。
「行きたいところ全部行かねぇとなあ?」
ふと、思考を止めて俺を見つめて固まる様子に既視感を感じる。
こいつ多分また考え込んでんなぁ。
「どうした?」
『え…?なんでもないよ』
「今後一切それで誤魔化すの禁止」
『……いや、その…あんまり、優しくしないでほしいなって思って』
「それは無理なお願いだぜお嬢さん?まぁた何かネガティブなこと考えてんだろお前」
『中也さんが浮気しないか心配』
今のはガチトーンの心配でしたね、俺のご主人様は。
ああ、うん、こいつは相変わらず…
「……しませんが」
『リアがいない間に他の女に靡いてるかも』
「した事ねぇだろそんなこと?」
『十年とか離れても同じこと言えるの』
「十年どころかこの先一生生まれ変わってもリアちゃんの従僕だろ?俺は」
『……そうだといいね』
「…わかった。一個約束してくれよ、生まれ変わったらお前から俺に会いに来い。俺は記憶が残るかどうか怪しいし」
残す方法があるって言ったら?
目の前の少女が芯のある声で言う。
「それなら、俺から迎えに行ってやれるじゃねえか」
『……ふん、言ってみただけよ』
「リア、本当に良いからな?」
『………………じゃ、あ…今度はちゃんと初めてあげられるかな』
「アホ、何とっとと死ぬ覚悟決めてんだ。言っとくけど俺はまだ諦めてねぇからな」
『そ…、好きにしたら』