第3章 誰そ彼時のエンジェルイヤリング
翌日。
幹部格達が緊急招集されたため、私は仕事も特に無く暇になる。
正確にはとっとと終わらせて暇にしただけなのだけれど。
そのため、食堂へ訪れてヤケ食いでもしてやろうかと考えていたのだが。
「!お前…」
『…あれ、立原君』
「は?立原君??…今日は飛びかかってこねぇのか」
『だって、貴方は私にも中也にも個人的な敵意はないでしょう?』
仲間なんだし、仲良くしましょ。
ニコリと笑って言ってやれば、性格悪ぃ、とこぼされる。
聞こえてんのよこっちは。
「まあいいか…で?こんな所でなにしてるんだよ」
『中也が私の事放って出て行ったからヤケ食いしてやろうかと思って』
スってきた中也の財布を片手に乗せてみれば、お前マジか、と顔を引き攣らされる。
「…あー、でもうちの食堂じゃあ、幹部格なんかカード見せれば無償でいけてるような気が」
『あ、ほんとだ。ICカード翳したら全部ボタン押せるようになった』
中也さんがいたたまれなさすぎる…!!!
なんて嘆く声が伝わってくるもそんなものはお構い無し。
『端から端まで食べてこう!立原君、一緒するよね?』
「はあ!?なんで俺が『す、る、よ、ね?』手前なんだよその弱握ってんぞみてぇな顔!!?行きゃいいんだろ!!!」
中々いいとこあるじゃない。
しめた、というように、本当に全てのボタンを押して注文する。
そうすれば、八人がけテーブルが直ぐに埋まって足りなくなるほどになってきた。
さあ、どんどん食べていかなくちゃ。
『いっただっきます!』
「…い、いただきます………いいのか本当に…」
昨日だって、結局寝る時間まで仕事ばっかりで全然構ってくれな…話もしなかったし。
朝起きてからだって、すぐにまたパソコン開いて仕事仕事って世話しなくって、全く私の事なんか気にかけてくれな……目に入ってなかったし。
それがやっと一緒に仕事になったかと思えば、今度はこんな朝っぱらから緊急招集?ありえないでしょ、私もうすぐここ出て入学式なんかに行かなきゃいけないのに。
『……私今日から高校生なのに』
「!お前学生だったのか?…めでてぇな、入学なんざ。こんな所で仕事せずにちゃんと授業優先しとけよ?」
『…なんで最初に祝われるのが立原君からなのかしらね?あーあー知らない、あんなシークレットサービス知らなーーーい!!!』