第3章 誰そ彼時のエンジェルイヤリング
『ドレスなんて持ってきてないもの。あるにはあるけど…私の趣味じゃないし』
「あ〜、そういえば蜻たんいっぱい渡してたっけ?ていうか、あの変態ストーカーならリアちゃんの行事を把握してる気がす____」
ピンポン、と、音が響く。
お届けものですという声に、代表で連勝が出て行った。
そして受け取ってきたのは、面積が広くて薄めの箱。
宛名は白縹 リア様。
私宛てだ。
それを連勝に手渡されると共に、書かれていないはずの差出人が誰なのかを読み取り、直ぐにそれを机に置く。
「…えっ、リアちゃん開けないの?それ」
『あんな浮気者からの贈り物なんか着ないわよ。いつまでも自分のものだと思ってたら大間違いなんだから…高校入る前になっても会いにこないくせに』
「それ、もしかして拗ね『なぁに?残夏君』なんでもないです~」
中に入っているのはドレスだ、間違いない。
けど、いらないそんなの…そんなの寄越すくらいなら、私と一緒に行ってくれればいいのにって話じゃない。
『…とにかく、親睦会なんかやること終わったらとっとと帰るし。出席義務さえ果たしたら後は拠点に向かうから、心配しないで仕事してて』
「……お前、何か他にも俺に隠してないか」
『あら、乙女にそんな質問するの?』
ジ、と視線を送られるも、こちらも強気で返しきる。
この人は組織の重要な五大幹部の一角をになっている…私のようなのとは立場が違う。
「…まあいい。とっとと風呂入ってこい、まだ書類作るんだから」
『はいな』
部屋にお風呂のセットを取りに行き、大浴場へ向かうため、エレベーターに乗り込む。
流石に少し気まずくなったからか、今日は中也はちょっと距離をおくつもりらしい。
__本当は、私だってそんなところに独りで行きたくはないのだけれど。
乙女は少しでも貴方の重荷になりたくないので、これくらいで泣き言は言わないのです。
なんつって。
「……ああ、首領。すみません仕事中なのに…はい。リアが明日入学式だったそうで」
「…中原も中々一途なところあるわよねぇ?付き合ってんの?この二人」
「いや?確か高校卒業したら結婚するって話だったような…」
中原を見つめる一同。
「あ…ほ、本当にいいんですか!?……はい…はい!それでは、明日に繰り上げて訓練を…はい!」
「「「あれで自覚ないの…??」」」