第10章 アザレアのひととき
飾り付けの済んだラウンジに戻るも、連勝とマーク君がまだ戻らない上に何だか中也さんと接しているのも気恥しいので、ミートパイや鮮魚のカルパッチョを作っている。
しかしそこにやって来て、一緒に料理をし始めて下さるのが私のシークレットサービス様。
『ひ、一人で出来るってば』
「いいんだよ、あいつに純度百パーセントのリアの手料理とか食わせてたまるか」
「あんたそういう所ガキよねほんと…にしてもリアちゃんその格好どうしたの?かぁわいい…♡♡」
『!!中也さんが選んでくれたの…っ』
ぴょこ、と生える耳と尻尾。
変じゃなくて良かった、変じゃなくて良かった…!!
「君は本当に中原さんが好きだな、分かりやすいくらいに」
『?そう君のパートナーとか務めあげてる凜々蝶ちゃんにだけは言われたくな「血縁って知ってるか…?」リアとそのシスコン変態ストーカー一緒にしないで』
「ああっ、なんというツーショット!!!リア、その眼差しでどうかお兄ちゃんと…!!お兄ちゃんと!!」
『中也さんあの変態怖い』
「っし、ちょっと待ってろ相手してくる」
シークレットサービスとは本来そういうものだったな、と深く深く思い出してくれた凜々蝶ちゃん。
しかし忘れてはいけない。
『ううん、うちのワンワンも大概阿呆だから』
「御狐神、うちのリアに変態行動ばっか働きやがって…今月の激写写真は?」
「こちらなどいかがでしょうか?中原さんの会議終わりを廊下で待ってる九尾ちゃん…」
「リア、お前あんだけ執務室で待ってろっつったよな???」
暴露されてるし。
いや待て、なんでそんな写真持ってんのそう君怖っ、変態怖っ!!
『それ分身だから』
「嘘つけ思いっきり盗聴してんだろがこれ」
『盗聴じゃないもん、録音だもん!!!』
「もっとダメだわこのクソ部下!!!」
ぐりぐりぐりと頭を圧迫される。
解せない、情報漏洩なんかしない上にどの道隠してたってリアにはお見通しなのにそんなの…中也さんの声録音してるくらいでなんでそんなに怒るのよ。
『く、クソ幹…ぶ、部下だけ…ですか、?』
「可愛い」
『かわ、ッ!!!』
「御狐神、今だ収めろ」
「YES、BOSS」
「君達は一体何の同盟を結んでいるんだ!!!!」
「安心しろ、白鬼院。お前の敵は御狐神一人だ」
「お願いだから逃げて白縹さんッ」
