第3章 誰そ彼時のエンジェルイヤリング
「けど、リアがこの手の会に参加するのは中々珍しいですね。普段なら自分の誕生日でも面倒だと駄々こねて部屋から出てこないのに」
鶴の一声ではなく、狐の一声。
まるで私を貶しているようにさえ思えるその言葉。
『変なこと言わないでよ双熾、部屋の中にカゲ様がいるのに外に出る必要無かったでしょう??』
「……それでは、どうして今回は出席を?」
『学校の行事だから特別な理由もなしに休めないのよ』
「あ〜そっかぁ、リアたん“あれ”だったもんねぇ」
突然湧いてでてきたその声に、一同再びしんと静まる。
夏目残夏、その人の声。
『……ざ、残夏君?貴方、またこっちに来たの??渡狸は??』
「ええ?崖の上から吊るしてきたから大丈夫♪」
『!放置プレイね?なかなかいい趣味してるじゃない。あの子Mだし悦ぶわよきっと』
「おいリア!!!誰に教えられたその言葉は!!!?」
「そんなの蜻たんしかいないっしょ」
割と素の声でシレッと言い放った残夏君。
その言葉を聞き逃さなかったのか、中也にガクガクと揺さぶられる。
「なんっで妙にどぎつい下ネタばかり吹き込まれてんだよ折角美人なのによぉ!!!!」
「あれっ、美人って思ってんの言っちゃうんだ意外」
『ま、ままま、待って落ち着いて首もげる…!!』
「いいか?そういう言葉は使わないようにしていくんだ、悪い影響受けすぎてるから…」
『……使わない方が可愛い?中也がそう言うなら使わないであげてもいい』
ピタリと止められる動き。
あほ面になって目を点にするその人。
「…おう、だからこれからは『違う。可愛いって思わないなら意識してまでやめない』………か、…か…か…ッ」
「……ねえ双たん、リアちゃんてもしかしてドS?」
「そうですねぇ…蜻蛉様が言うには、S…」
『なぁに、言えないわけ?まあ思ってもないようなこと言える人じゃあないのは知ってたけど』
「て、てめ『女の子の御主人様に手前だなんて不躾ねぇ』……相子だろ、お前こそ俺に行事あること黙ってたんだ」
シークレットサービスにそこまでの事を押し付けるだなんてことできるわけないじゃない、何言ってんのこの人。
「根に持ってんのねぇ…ちなみにリアちゃんは当日どんな衣装着るのかしら??」
『?制服だけど』
「…に、入学式じゃなくて、立食パーティーの方よ??」
『だから、制服』